呼吸が体幹トレーニングになる!?
東京オリンピックでは、日本チームは過去最高の金メダル数を獲得しました!
やはり、日本人が世界の舞台で活躍する姿は嬉しいものですね!
その裏には、想像を絶するようなアスリート自身のトレーニング、周りをサポートするチームスタッフの努力があることは想像に難くありません。
「トレーニング」と聞くと、重たい重りを持ち上げるトレーニングがまず頭に浮かびますよね。
いわゆる「筋トレ」です。専門的には「レジスタンストレーニング」と呼びます。
最近では、それに合わせて「体幹トレーニング」という言葉も市民権を得てきました。
と、「体幹トレーニング」に対する様々な情報がありますが、果たしてそれらは事実なのでしょうか?
●体幹トレーニングって何?
そもそも「体幹」とは、身体のどの部分を指すのかということをご存知でしょうか?
実は「体幹」という言葉に定義はありません。
つまり、何となくお腹周りのことを指して使われることが多いというのが現状です。
ここでは、上半身のうち、頭部と腕を除いた肩からお尻までを「体幹」と定義しましょう。
では、その「体幹」を「トレーニング」することを「体幹トレーニング」と呼ぶわけですが、キーポイントは何でしょう?
それは「脊柱(背骨)」です。
背骨は「頸椎」「胸椎」「腰椎」「仙骨」「尾骨」と5つの部位に区分されます。
ここでは「胸椎」「腰椎」に注目しましょう。
おおよそ、背骨の肩から肘の高さまでを「胸椎」、肘の高さから骨盤までを「腰椎」となります。
実は、この「胸椎」と「腰椎」は身体の中で異なる役割を担っています。
「胸椎」は「捻る」という役割。
「腰椎」は「固定する」という役割。
を、担っています。
つまり、お腹周りを固定(安定)させた上で、胸周りを捻る(まわす)・手足を動かす、といった動作の質を高めていくことが体幹トレーニングにおいては大切です。
逆に言えば、胸周りを捻った状態でお腹周りを安定させることができるのか、ということです。
ゴルフのスイングをイメージすると、わかりやすいですね。
●お腹周りを固めるということ
皆さんは、「ドローイン」という種目を聞いたことはありますか?
仰向けに寝転がって、大きく息を吐きながらお腹をへこませていく動作です。
このドローイン、確かに腹筋を使っている感覚は感じられるのですが、腰椎の安定につながっているのでしょうか?つまり、体幹トレーニングとして効果的なのでしょうか。
まず、腰椎を安定させるためには「呼吸」がとても重要です。
「何だそんなことか」と思われたかもしれませんが、皆さんは15秒以上かけて息を吐くことはできますか?
7秒や8秒を超えたあたりから、肩に力が入るという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「息を吐く」という動作には、お腹周りにある多くの筋肉が活動します。
その中でもドローインにおいては「腹横筋」という筋肉がメインで動きます。
この腹横筋、腰痛の予防・改善には効果が高いとされていますが、腰椎の安定に対する効果は懐疑的です。
対して「ブレーシング」という手法があります。
ドローインが息を吐きながらお腹をへこませるのに対して、ブレーシングではお腹を膨らませるイメージで呼吸を繰り返します。
適切な呼吸が行われていれば、呼吸の際に体内では横隔膜が上下運動をしています。
息を吸う時に「横隔膜は下降」します。つまり、肋骨のあたりから下腹部に向かう方向に動きます。
すると、横隔膜の下降と同時に腹筋群や背筋群、骨盤底筋群が働きます。
この結果、腹腔内圧(Internal Abdominal Pressure)が上昇し、腰椎の安定につながるのです。
例えば、バーベルを担いでスクワットをする際、お腹をへこますよりも膨らますイメージで動作を行なった方が安定感が増します。
さらに、「胸椎を捻った状態での腰椎の安定性」という観点では、ブレーシングの方が高い効果があるとされています。
少し難しくなりましたが、日常生活の様々な場面で上記のような動きが行われています。
・歩く時
・何かモノを取ろうとした時
・振り返ってモノを渡そうとした時
・運転をする時
・寝返りをうつ時
もちろん、テニス、野球、ゴルフといった捻る動作を必要とするスポーツ、サッカーやバスケットボールのように相手との接触があるスポーツにおいては必須となる機能です。
●適切な呼吸を繰り返すこと
上記の通り、安定したコアを手に入れるには「横隔膜が適切に動くこと」が重要です。
しかしストレスフルな現代社会、意外と横隔膜を使わずに呼吸をしている人はとても多くいらっしゃいます。
どこの筋肉を使うかと言えば「胸」「肩」「首」周辺の筋肉を利用し、呼吸を行います。
先ほど、7秒や8秒あたりで肩に力が入ってしまった方は、普段から肩こり・腰痛・頭痛、反り腰などの症状はありませんか?
それは、もしかするときちんと横隔膜を利用した呼吸ができていないからかもしれません。
ストレスを感じることで呼吸が浅くなり、首や肩周りの筋肉で呼吸のサポートをします。その結果、横隔膜がもつ本来の「呼吸」という機能が低下し、「姿勢保持」のために働いてしまっているのです。
呼吸は1日に約2万回行っていると言われます。
2万回も連続して間違ったフォームでトレーニングをすれば、やはり歪みが生じるのは必然です。
つまり、姿勢改善や体幹の機能向上には「適切な呼吸」がとても重要なのです。
●パーソナルトレーニングだからできること
呼吸は体幹トレーニングの一例ですが、このように低下してしまった機能を取り戻すエクササイズを「コレクティブエクササイズ」と呼びます。
コレクティブは「修正する」という意味です。
こういったトレーニングは、スポーツクラブで行うことはなかなかできません。
私たちパーソナルトレーナーがお客様の身体を評価し、お客様のニーズを伺い、それにマッチしたトレーニングメニューをご案内いたします。
決して重たい重りを持ち上げることだけがパーソナルトレーニングではありません。
相次ぐ緊急事態宣言・蔓延防止措置、リモートワークなどでちょっとした身体の不調をお持ちの方が多くなっています。
これから真夏も過ぎ、少しずつ秋に向かう季節。
自分の身体と向き合うには良い季節です。
まずはちょっとした不調に気づけるように、そして気づいたなら自分でリセットできる方法を知っていると良いですね。
●プロフィール→
大阪のパーソナルトレーナー|池田幸平 - ファーストクラストレーナーズ
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